雑記帳

私、渋谷次郎が調べたことや考えたことを書き留めておくためのブログです。

荻原規子の黄金の羅針盤評--本とも連載エッセイが終了

角川書店の広報誌「本とも」に連載されていた荻原規子のエッセイだが、この時期に書店(たぶんレジ周辺)に並んでいる8月号で最終回だという。おいらにとっては全く突然の終了で深く悲しんでいる。

この10カ月あまり、同誌の発行を毎月心待ちにしていたのは、やはり彼女のエッセイが読みたかったからであったにちがいない。

もっとも、童話や児童文学なるジャンルに特段の造詣を持っているわけではない。子どものときにそれなりに通過してきたつもりだが、その後はすっかりご無沙汰だった。毎回紹介される作品の大半は知らない作品だった。

最終回で紹介されているフィリップ・プルマン「黄金の羅針盤」もやはり読んだことがない。荻原は、この作品の主人公であるライラや各登場人物にあつらえてある守護精霊という「仕掛け」に着目し、その精緻さとともに、同様の仕掛けが多くの子ども向けエンターテイメントに共通のものになっているとする。

うーん。そういえばそうだねえ。
「もう一人の自分」とか、「自己の相対化」といったところにも通じるようなテーマであった。

「アニマ・アニムス」という連載タイトルにも巧みに絡んだ話題となっており、「きっと、連載開始以前にメモぐらいは作ってあったな」と、その「作為的な」行為に八つ当たりを感じてしまう。もっと続くと思っていたのに。しばらく教室の隣の席に座ってくれていた文学少女が、スッと消えてしまったような感傷。

単行本となる予定があるそうなので、そのときには未読の部分でものぞいてみるか。それとも、せっかく夏休みなのだから、紹介された作品をひとつかふたつ読んでみようか。