雑記帳

私、渋谷次郎が調べたことや考えたことを書き留めておくためのブログです。

保育園の面積基準切下げ条例改正案とその奇妙な顛末@さいたま市議会臨時会

 GW直前の4月24日に急きょ開かれたさいたま市議会の臨時会。議案を提出した自民党市議団は、同月12日に記者会見を開き、「面積基準緩和で緊急に保育園の定員を増やし待機を吸収する」と緊急性を訴えていた。
 ところが、いざ議会が開かれてみると、自民の説明はのらりくらり(注1)。本会議では趣旨説明に続く各会派の質問に対し具体的な回答を避け続け、委員会で審議の冒頭に自民と協力関係にある公明が事実上の廃案ともいえる「継続動議」を提出。これに自民自身も乗っかり2党による賛成多数で早々に葬り去られるという奇妙な結末となった。

 自民党市議団は先の記者会見で、認可園に入れなかった保護者グループが不服審査請求していることを引き合いに出して緊急性を訴えていた。杉並区など、メディアに大きく取り上げられていた東京の区部の保護者の動きがさいたまにも波及していたのだ。
これに対し、その保護者のグループ「さいたま*保育園のことを考える親の会」は反発。「私たちはどんな保育園でもいいから入れてくれと言っているわけではない」と自民を含む各会派に報道陣を伴って自民に抗議。各会派に対し議案へ反対するよう申し入れていたのである。
 保育園の待機解消策なら市民ウケすると考えていたとすれば、「思わぬ反発」だったのかもしれない。

 私が役員を引き受けているさいたま市保育園保護者連絡会も、面積基準の切下げにはかねてより反対してきた経緯があり、自民を除く全会派に要請し、民主、改革フォーラム、共産の3党の紹介議員を得て反対の請願書を提出。とある保育園がスタッフや保護者がいったいとなって取り組む署名形式の請願書へも協力を呼びかけた。議会に対して会として直接働きかけるのはまったく初めてのことだった。

 条例改正案の成立は防ぐことができたが、自民とて「完敗」したわけではない。
 翌25日、自民と公明は待機児童の早期解消策の実施を市に求める決議案を提出し、「決議は全会一致」の慣例を破るかたちで、2党の賛成多数で可決に持ち込んでいる。
 この決議では、保育所の整備推進や保育士らの雇用支援といっしょに「定員規定などの弾力的な運用」という文言が盛り込まれ、その例として「認可保育所の面積基準の緩和もあり得る」と説明されたうえでの採決だった。もしこの文言がなければ他党の賛成も得られ、慣例どおり全会一致のかたちを取れる可能性が十分にあった。それにも関わらず、この文言にこだわったのだ。
 なお、民主と改革フォーラム、共産の各会派は「面積基準を緩和すれば、保育の質と安全を担保できない」などと反対意見を出している。


注1
今回の条例改正案について議案提出者として自民が行なった主要な答弁は以下のような感じ。

質問「いったいどの規模で定員が増やせるのか」
回答「あくまで待機児童対策の一助となるもので、効果はやってみなければわからない」

質問「8月1日施行とあるが、そんなに早くできるのか?」
回答「あくまで8月1日以降にということ」

質問「安全面の対策は取られるのか?」
回答「安全だと判断した保育園が実施する」