雑記帳

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さいたま市の「認証」保育園に関する統計数値をいじってみた

東京都の認証保育園や横浜市の横浜保育室のように、さいたま市にも認可外の保育園を一定の基準の下に認定し助成する制度があります。3歳児未満の子どもを預かり比較的小規模なものを「家庭保育室」と呼び、5歳児までを預かり認可園と同等の規模のものもある比較的規模の大きな施設を「ナーサリールーム」と呼んでいます。

国レベルの新制度の議論では、こうした保育園が対象となるような制度の議論が先行して進められているという印象です。今回は、地域での議論を深めなければならないタイミングに備えて、こうした市独自の制度により認定された保育園に関する数字をまとめておくことにしました。すると認可園の4分の1の規模に達し、ナーサリールームの役割・ウェイトが高まっていること。さらに企業運営の保育園が多くなっている様子がわかりました。

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◆独自認定保育園の増加はナーサリールームが中心
まずは時系列的に増加傾向を確認しておきましょう。じつはいつが認定制度の始まりだったのかを調べるところに手が回りませんでした。私が保育園に子どもを預け関心を持つようになってからの知識ですが、保育園に対する助成制度がまず先行して、平成21年度から月額2万円の保育料の助成が始まりました。そして後者の助成が始まったタイミングに合わせて急増するようになりました。


いくつかの資料をつなぎ合わせてグラフを作ってみましたが、いつしか家庭保育室とナーサリールームを区分けした数字が公表されなくなってしまったので、数字が欠けています。22年度については偶然手元に残っていた施設の一覧表(同年4/1現在)をもとに計算しました。そのためなのか、この年についてはその後市が頻繁に用いている数字と僅かに異なります。

双方を合わせると定員ベースで約3千300人に達していますが、これは認可園の4分の1ほどの規模ということになります。


定員ベースのウエイトで見てみると、すでにナーサリールームが8割に近づいていることがわかります。年々増える勢いも合わせて考えると、今後ますますナーサリールームの比重が高まることになるでしょう。家庭保育室は数が増えても小規模なためになかなかまとまった数字にはつながらないのです。待機児童の解消策としては家庭的な保育園はどうしてもパワー不足の感があります。

◆必ずしも不承諾数と比例しない地域分布
次に、区ごとの分布状況を見てみましょう。不承諾数が多い区はやはり多いのではないかと思っていました。たしかに、南区や中央区など不承諾数が多い区に多い傾向はうかがえます。しかし、南区に次いで不承諾率の高い浦和区の定員数はそれほど多くなっていません。西区や桜区がごく少ないのも気になります。かならずしも不承諾数数と比例して多くなっているわけではないようです。


◆企業経営が65%に達するナーサリールーム
次に、運営主体別の数字を出してみると、ウェイトの大きいナーサリールームで株式会社などの企業が運営していることがわかります。認可園では企業運営の保育園はごく少数にとどまっているさいたま市でも、認可外の部分ではかなり様子が異なるのですね。


ちなみに認可園の保護者を対象にしたアンケートでは、ほぼ半数が独自認定園の利用経験があると答えています。いったん認定を受けた認可外の保育園に預けて認可園の入園を待つというのが、ひとつのパターンになっています。また、数量的に把握できないのですが、家庭保育室に預けて年少さんから幼稚園に入るというパターンもあります。家庭保育室を卒園した児童がどのような経過をたどっているのか、あるいはナーサリールームに就学までずっと預けるというパターンがどのくらいの数になるのかも把握しておきたいところです。 本来ならじっさいに保育されている年齢別の統計や、退園する児童数の統計も欲しいところですが、入手できていません。




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