雑記帳

私、渋谷次郎が調べたことや考えたことを書き留めておくためのブログです。

子ども・子育て新システム検討会議の中間報告を、大量待機のさいたま市の子育て世代として素読みした−②

すきま時間で読んでいることもあって、やや時間がかかってしまったが、素読みメモの修正加筆版。

本報告書の位置づけが基本的制度設計の部分だから、当然という方から見れば当然なのだろうが、、給付金の流れを当初のコンセプト通りにしたまま、どこまで現実的な像を結ぶか「努力中」という様相。
メモを作りながらも、基本的にはああやっぱりという印象。施設側の団体が表明してきた懸念についてはずいぶん加筆修正されている感があるものの、保護者(利用者)からみた懸念への対応は依然なおざりだ。

さて、さいたま市を想定して考えると、政令指定都市中核市における県との役割分担についてはすべて先送りされてしまっていること。それから直接契約とあっせんの絡みで、「当面、保育需要が供給を上回っている間の関与の仕組み」(Ⅲ-6-3-2)という規定が現れたことが注目される。

                      • 以下メモ

≪前文≫
子育ての保障や格差の是正をうたい、社会的に子育てを支える仕組み作りを呼び掛けてはいる。

「親の経済状況や幼少期の成育環境によって格差がしょうじることがないなど、子どもの最善の利益を考慮し、すべての子どもが尊重され、その育ちが等しく確実に保障されるよう取り組まなければならない。」

「確実に保障されなければならない。」と言い切れなかったところにもどかしさを感じる。

こうした理念に基づいていたとしても、目標地点、あるいは目指すべき到達地点が明らかにされていない。どのような仕組みなのか明確なイメージを描くことをあえて避けているようにさえ感じられる。


「子育てについての一義的な責任が親にあることを前提としつつ」
というフレーズが、どうして挿入されているのかが不明確。社会や国家による過度な管理や画一性を強制するものではないという意味なのか、それとも「やっぱり親がしっかりしなくちゃね」という意味なのか。どうも後者のように感じられてしまうのはひがみか。
 → 後段には、このフレーズを引きながら利用者に「一定の負担」を求めるとしている。

「子ども・子育て支援についても、こうした(=社会の再生を目指した or 震災被災地のような)助け合いの気持ちを確かなものとして国民が共有し、子どもの育ちと子育てを皆で支える新たな絆の仕組みを構築しなければならない。」

Ⅱ-2
 なぜ「(4)妊婦健診」が(のみが)この事業に含まれるのか?

Ⅲ-5-3撤退規制等
 保護者への情報開示の部分に、「エ、職員の保有免許・資格や経験年数」とあるが、当該施設における継続勤務年数も欲しい。

Ⅲ-5-⑤、県と市町村の役割について区分が不明瞭。
 指定・監督の主体は都道府県
 なぜ、市町村ではないのか。
 政令指定都市中核市については今後の議論 → なぜ「今後の議論で済ませるのか」

 市町村の計画を上回る施設ができたときに、指定・監督主体(都道府県)が新規指定や指定の更新を止めるという仕組みをとるのはなぜ?

Ⅲ−6-(2)契約方式
①、保育の必要性の認定
 C,「優先利用」に、発達障害等を持つ児童が明記されていない。
   → 項目「優先利用」と「特別な支援を要する子ども」という言葉相互の関係性が不明瞭。
   → ひとり親家庭や虐待のおそれのあるケースなどを優先利用としたが、後段を読むとここに明記すべき。。
   → 市町村が、障がいを持つ子どもの認定はしないということ? じっさい容易に認定できないことは理解できるが、
   → 後段の選考基準のところでは「施設の「特別な支援を要する子ども」を優先的に選定する。とあるが、、、。
   → そもそもこれは「A事由」の一部とすべきではないのか? 「B区分」と並び立つ「C優先利用」ってどういうこと?

3、あいまいな「公的契約」の性格
  3歳以上の子どもを受ける施設に、保育の必要性が認められた子どもの定員、認められない子どもの定員をそれぞれ求める。
→ これは、保育園相当の施設に対してもなのか。それとも幼稚園、統合園のみに課す要件か?

  施設と保護者間で結ぶ契約も「公的契約」だとうたい、どのように公的かというと、「応諾義務」や国等の選考基準に基づく選考が求められているということだが、この義務や選考を担保し、起こりうる個々の逸脱を監視・補正する仕組みがない。

Ⅲ−6-(3)市町村の関与
   → 特別な支援を要する子どもについては、市町村があっせんに関与できる仕組みを今後検討するとしているが、むしろ、どのくらいのボリュームで受け皿を用意すべきかをいかに測るか。あるいはそれに対応できる施設をいかに確保するかが寛容なはず。「対応できない」ということで選考から漏れてしまう怖れを払拭できない。


   →② 「当面。保育需要が供給を上回っている間の市町村の関与の仕組み」
      →認可園制度と同様の利用調整を行いあっせんまでする。ただ契約自体は園と保護者が結ぶということ?
      →市町村のあっせんを経ずに園と保護者が契約を結ぶことはできないということか?
      →「供給が上回っている」ということはどのように確認されるのか。市町村自身の判断? 
       「供給が上回っている」という認定が解かれた際の移行イメージが不明瞭。


Ⅲ-7、施設の一体化(総合施設(仮称)の創設)

 基本的な考え方
  → 現行の保育所における幼児教育に対し学校教育(1条学校)としての位置づけを付与する。
    条文はともかく、現在保育園で行われている「教育」と、内容的にはどう変わるのか。変わらないのか。

  → 「(2)②保育の量的拡大;現行の幼稚園が保育機能の強化することにより、保育の量的拡大を図る。」
    この動きを促進させるために、いかなる方策がとられるのかが明示されていない。給付金に差をつけるなど、インセンティブによる誘導を図るようなことが想定されているのか? 供給過多の状態のみを考慮しているとすれば、そもそも保育の量的拡大をこの部分期待することとの矛盾が生じてはいないか?