総合子ども園への移行を促すインセンティブの制度的骨格はここ?【法案メモ】子ども・子育て支援法 その2
今回の法改正の核心部分は保育に関する国の負担金のお金の流れにこそあるのだと思う。というかそれ以外は何も決めようとしていないかのようにさえ見える。つまり、前回までに検討した「総合子ども園法」よりも核心はこの「子ども・子育て支援法」にあるんじゃないかな。
じつは、かなり以前に一回だけ、支援法の最初の方の条文だけメモしたものをアップしたことがあるのだけど、かなりつまらない内容だった。
しかし、今回はようやく核心部分の前半というところ。支給認定の区分(一九条)と給付金の骨格部分(二七条〜三〇条)を検討してみたい。
なお、「一号認定」「二号認定」「三号認定」というのは私が付けた通称に過ぎない。こういう名称を使った方が分かりやすいかどうかは、もう少し後で判断したい。
◆支給認定の区分(一九条の1)
一、満三歳以上の就学前子ども(一般) :一号認定
二、満三歳以上の就学前子ども(要保育):二号認定
三、満三歳未満かつ要保育の子ども :三号認定
◆子どものための教育・保育給付(二七条〜三〇条)
<基本的な考え方>
- 、総合子ども園における教育・保育、および幼稚園における教育、三号認定を受けた子どもの保育の費用を賄う「子ども園給付費」を基本する。
- 、給付金額は、 「国基準額」 − 「市町村が定める所得別保護者負担額」により算定する。
- 、これを補完する他の各「給付費」を設け、各給付費は同様に算定されるが、それぞれ個別の(おそらくより安価な)金額を設定する。
- 、いずれの給付費の国基準額も、設定・変更する場合は、国はその諮問機関である「子ども・子育て会議」の意見を聞かねばならない。
<給付費の算定の考え方>
給付金額 = 「国基準額」 − 「市町村が定める所得別保護者負担額」
- 「支給認定の区分」「保育必要量」「地域」間差額を考慮し、国が「国基準額」を定める
- 保護者世帯の所得額等の状況別に、市町村が「保護者負担額」を定める
1) 子ども園給付費(二七条) 「指定教育・保育」に対する給付
▼「指定教育・保育」とは以下に限定された(=インセンティブを効かせるべき)教育・保育
2) 特例こども園給付費(二八条) 「特別利用教育・保育」等に対する給付
▼認定以前の特例的な「指定教育・保育」に対する給付
一、申請日から給付認定の効力が生じた日までの教育・保育を受けたとき
▼「特別利用教育・保育」に対する給付
二、一号認定を受けた子どもが受ける、保育所・届出保育施設での保育(=特別利用保育)
三、二号認定を受けた子どもが受ける、幼稚園・保育所での教育・保育(=特別利用教育・保育)
上記一〜三のそれぞれについて個別に料金が設定される。(=金額はそれぞれ異なる)
3)地域型保育給付費(二九条)
三号認定を受けた子どもが、指定地域型保育を受ける場合の給付
4)特例地域型保育給付費(三〇条)
▼認定以前に特例的に「指定地域型保育」を受ける場合の給付
一、三号認定を受けた子どもが、申請日から給付認定の効力が生じた日までの間に、指定地位型保育事業者から受けた保育
▼「特別利用地域保育」等に対する給付
二、一号認定を受けた子どもが指定地域型保育事業者から受けた保育(=特別利用地域保育)
三、二号認定を受けた子どもが指定地域型保育事業者から受けた保育(=特定利用地域保育)
一〜三は、家庭保育室等の利用を想定
四、離島など上記の教育・保育施設の確保が著しく困難な地域で、一号認定を受けた子どもが、その他の施設で受けた教育、二号または三号の認定を受けた子どもが受けた保育。
(=特例保育)
上記一〜四のそれぞれについて個別に料金が設定される。(=金額はそれぞれ異なる)