雑記帳

私、渋谷次郎が調べたことや考えたことを書き留めておくためのブログです。

保育園の不足はどこまで? 1歳児の不承諾数の6倍から考えよう!

■保育園不足の議論をランクアップしよう!

ブログ記事「保育園落ちたの私だ」をきっかけに、今年の春はよりいっそう保育園の待機児童の議論が盛り上がりを見せている。政府もなにがしかの施策を打たざるを得ないところまできた。

ただし政府が示した「緊急対策」は規制緩和により若干の手当てができるのではないかというものだけでほとんど予算的な措置もなきに等しく本気度は低い。
やはり議論のステージをワンランクもツーランクもアップする必要があるだろう。そこで提言をいくつかしておきたいと思うようになった。
今回はまずその第一弾である。

■1歳児の不承諾数の6倍を顕在化した不足量としよう!

保育園不足の議論をランクアップするためには、各地でどれくらいの保育園が必要なのかをしっかりイメージすることが大切だ。

不承諾数からすでに顕在化している不足量として簡単に推定値をはじくことができる。ただし不承諾の数を不足量だと考えると、入園した子どもが何年くらい保育園で過ごすのかという点をまったく加味していないことに気づく。そこでよりましな手段として利用したいのは、

「1歳児の不承諾×6」

で得られる数字である。この式の後ろにある考え方は、1歳児で入園したら大半は5年間過ごすこと、さらに、2歳児、3歳児で各園で少しづつ定員増があることということであるので1を加えておいたくらいの意味である(注1)。とはいえ、これがすでに顕在化している不足量あることは間違いなく、早急に補うことが必要な保育園の定員数の下限となるだろう。

さいたま市だと5400名分が「顕在的」に不足

まずは私の地元、さいたま市を例に計算してみよう。
平成28年2月、1歳児の不承諾数は900件である。申請は2292件であったので、およそ40%の申請者は落ちたという悲しい結果だった。

さっそく不足量を上の式によって計算してみよう。

900×6=5400名

もし、定員100名の保育園を立てるにしても54園分にあたる。さいたま市の場合は、それくらいの規模で考えなければ前に進まないのだ。

今後公表される4月時点の待機児童数だが、さいたま市おそらく100名ほどの数字を示すだろう。もはやだれも信じていない数字だが、全年齢合計の不承諾数(2084件)と比べても倍以上の数となる。

小手先の緊急対策になぜ呆れてしまうのかそろそろおわかりいただけだろうか。ぜひ「1歳児の不承諾数×6」で顕在化している最低限の不足数を捉えることで、規模を意識したまともな待機児童解消策が議論されなければならないと思う。

もちろん、保育園に入れそうもないから申請もしていない方の数や、保育園に入れるなら働きたいというような、いわゆる潜在的なニーズはここには含まれていない。真のニーズを考えるなら本当はこの数字の上に加えなければならないのだが、神学論争のように終わりそうもないので、こんないい加減な数字でもそれを毎年チェックし続ける方がよほど建設的な議論となるだろう。

■不承諾数に注目ももう一工夫を

自治体が発表し厚労省が集計している「待機児童数」が役立たないということで、次に注目されるようになったのが認可園の利用申請に対する不承諾通知の数だった。その不承諾の数で各区や市町村を比べると、このエリアが厳しそうだなという比較には役立つ。杉並区とさいたま市はどっちがより厳しいのかとか考える上では役立つ。でもそれだけにしか役立たない。各エリアであとどれぐらいの保育園を作ったらいいのかという数字として使うには、かなり少なすぎるのである。ひどいひどいと騒ぐにはいいけど具体的な計画の立案には、不承諾数の合計では残念ながらまだまだ役不足な数字なのだ。

今年は各政令市や都内特別区の数値を取り上げるメディアも多くなった。不承諾数は公表していない自治体も少なくないが、どんな市や都道府県にとっても、集計は難しくないし、おそらくすでに集計しているのではないかと思われる。ぜひメディアも住民もとにかく公表を求めた方がいい。そして首都圏全体や全国都市部のニーズも、そこから積算して算出し考える必要がある。

さて、次回は、保育園の重大事故に関してだけど、「うつぶせ寝」よりも置去り放置された時間の長さをお昼寝中の死亡事故では確認して欲しいということを書きたいと思う。